【機械設計の話】機械設計をしたければ、どんな会社に就職し、働くのか
学生さんにとって気になるのはやっぱり就職先のこと
有名どころだけでなく、もっと幅広く考えてみよう
- この記事は機械工学を勉強している学生さんや、なんとなく設計という仕事に興味があるという人に向けて書いているつもりです。
- 自分が学生の時に気づけなかったことを中心に書いていきます。
- 勉強していることが仕事でどう使われるのかや、会社での仕事の実際を伝えたいと思います。
就職活動は今年も経団連がよくわからん取り組みをしてましたが、いわゆる偏差値が高い大学の工学部の学生さんは割と就活には苦労しないんじゃないでしょうか。
大学の推薦とかも含めて、有名な大企業に就職する人も多いでしょう。
で、それが自分のやりたいことにつながるかはちゃんと考えたことがあるでしょうか?
私は無かったので、最初の会社に就職してから2年ちょっとで転職しちゃいました。
最初の会社で経験したことも含めていい経験だったんですが、もうちょっとちゃんと社会のことを勉強しとくべきだったかなと思ったので、機械設計をやりたいと思ったときに就職先として考えられることを書いてみました。
製造業の構造のイメージ
製造業に限らないかもしれませんが、会社と会社の関係って下の図のようなピラミッド型をイメージする人が多いと思います。
完成品を製造・販売するメーカーが殿様のような存在で、その下の1次下請け、2次下請けと呼ばれるような部品メーカーは殿様から搾り取られる。
だから頑張って勉強して、いい大学入って、ピラミッドの頂点の会社に入ることを目指す。
これはお金の流れに関してだけ考えれば、かなり当てはまると思います。
では技術的なことだったり、仕事の内容についてはどうでしょうか。
これに関してはどちらが上だ下だというより、役割の違いという面が出てきます。
どういうことか上の図に少し手を加えた下の図で簡単に説明します。
上の図で意図的に言葉を使い分けたものがあるので先に説明しておきます。
部品メーカー
受注先のメーカーから製品図面を受け取って、図面通りのものを製造して納入するメーカー(製造だけをするメーカー)
機能部品サプライヤ
受注先から仕様書を受け取って、その仕様書の機能を満たす製品の詳細を設計、開発、製造して納入するメーカー
自動車でいうと例えば、ヘッドライト、ECU、ABSモジュール、タイヤ等
自動車に取り付ける際に必要な寸法は指示するが、中身の詳細については機能部品サプライヤ側が設計する
自動車業界では機能部品サプライヤの中でも特に大きな企業を「メガサプライヤ」なんて言ったりします。
その代表的な会社であるBOSCHやDENSOは、規模としてはヘタな完成品メーカーより全然でかいです。
この図の中で「Panasonic」が機能部品サプライヤとして出てきます。
「Panasonicは家電の完成品メーカーじゃないの?」と思われるかもしれませんが、自動車向けのセンサーやLSI、バッテリー等を開発しています。
このように、一般的には知られていない顔を持つメーカーだったり、知られていないけど、ある業界では必須機能なものを支える機能部品サプライヤだったりが存在します。
完成品の機能を機能部品サプライヤが決める時代が来ている
自動車業界に限らず、いろんな製品がどんどん高度化してきているので、完成品メーカーだけでは全て開発しきれません。
その状況が逆に、「下請け」である機能部品サプライヤ側から完成品メーカーへ「こんなものが出来たんでこんな車がつくれるようになりましたよ!」と提案する状況がかなり多くなりました。
もっと言うと、機能部品サプライヤが完成品の機能を決めることもできるわけです。
例えば、今話題の(?)クリーンディーゼルに欠かせない「コモンレールシステム」をDENSOが開発したから普及したわけですし、自動運転システムに欠かせないセンサーやアクチュエータ類もそういったサプライヤが詳細技術は開発していくことになります。
念のため補足しておくと、完成品メーカー側から「こういうものをつくれないか?」という提案を受けて、完成品メーカーとサプライヤが共同で開発を進めていくという状況ももちろんあります。
結局何が言いたいかというと、技術開発をやりたいなら就職先に機能部品サプライヤを選ぶという選択肢もあるということです。
完成品メーカーは完成品としての開発はやりますが、要素ひとつひとつについてはやらないで仕様書を出すだけみたいになっちゃうこともあります。(その仕様書を出すのだってエラい大変なんですけどね)
機械設計者の活躍の場はこんなにある
上で出てきた図にさらに追加しました。
先ほどまでは完成品メーカーがひとつで頂点に君臨していましたが、実際には完成品メーカーはいくつもあって、その下請けメーカーは複数の完成品メーカーに部品を供給しています。
そういう意味では、「下請け」の方がいろんなメーカーを見れて面白いという面もあるかもしれません。
また、実際には製品・部品自体を製造しなくても、製造をするための設備、製品開発に必要な設備や計測機器、金型等を開発・製造するメーカーもあります。
これらのメーカー全てに機械設計者が必要です。
傾向としては、規模が大きい会社ほどシステマティックで、個人が担当する範囲が狭くなるように感じます。
その辺を踏まえて、自分のやりたいことと性格も含めて、幅広く自分の進みたい業界を分析してみてください。
補足
重工系、インフラ系は経験が無いうえに、全く仕事の仕方が違いそうなので省略しました。