3Dプリンタで「型」をつくっての樹脂成形にトライ
突然ですが、3Dプリンタで「樹脂型」をつくってみることにしました。
せっかく3Dプリンタがあるのになんで型を作るんだ?と思われるかもしれませんが、3Dプリンタは
- 同じものを何個も作りたいときに時間がかかる
- 使える材料が限定されている
と言ったデメリットがあります。
そこで、型を作っちゃえばものづくりの自由度が上げられるんじゃないかと考え、トライしてみることにしました。
最近では工業製品用の金型・砂型も3Dプリントで作っちゃうみたいですね。(それはもちろん金属用の3Dプリンタですが)
で、先に結論を書いておくと、本日時点ではまだ成功には至っていません。
でも過程を残しておくことも大事だと思うので、とりあえず書いちゃいます。(ブログのネタが枯渇してるなんて言えない)
まずは型の3Dデータを作成
CAD環境が人それぞれで異なるので参考になるかは分かりませんが、私がやった流れを書いておきます。
何を作ろうか良いアイディアが思いつかなかったので、機械的なものとはちょっと違うことをやってみることにしました。
Illustratorの文字データを2D CAD用データ(DWG形式)に変換
DWGデータをSOLIDWORKSでスケッチとして読み込んで文字を3Dデータ化し、それを反転させて型形状を作成
てな感じです。
1点だけ補足しておきますと、型に材料を流し込んで、それが固まって出来た製品を取り出す際に、「抜き勾配」を付けておかないと、型から製品が外れなかってしまう場合があります。
一般的な量産製品ですと1〜3°程度の勾配を付けることが多いと思いますが、今回は5°でやってみました。
型を3DプリントしてLet’s mold!
下の写真がプリントした型です。今回はABSで製作しました。
まずはネジを位置決めピン代わりにして2つの型の位置を合わせ、万力で型を挟み込みました。
そしてこいつに湯口から材料を流し込みます。
今回使った材料はホビー用レジンです。
レジンキャストEX 2kg (ノンキシレンアイボリー) 180秒硬化タイプ
A液とB液(主剤と硬化剤)があって、それを同量ずつ混合して使います。
これは混ぜてから約180秒で硬化するということで、時間との勝負。
緊張の面持ちで早速混ぜて型に流し込みました。
その結果は。。。
時間との勝負なので途中の写真がなくてすいません。
上の写真は流し込んで時間が経ってから型を空けてみた状態です。
言うまでもなく失敗です。
何が起こったかというと
- 流し込んだ材料が型と型の隙間から漏れた
- 材料がちゃんと固まっていない
まず漏れてしまったのは型の挟み込み方が悪かったからだと思われます。
型はプリントしっぱなしで、精度を出すための加工とかはしていないので、かなり力をかけて型を変形させて隙間をぴっちり埋めないといけないです。
というのは分かっていたつもりでしたが、まだ考えが甘かったようです。
万力の位置や締め込み力を見直さないといけません。
位置決めだけに使っていた穴もネジで締め込んで挟み込む力に加えた方が良さそうです。
材料がちゃんと固まっていない問題は単純に混ぜ方が悪かったようです。
時間との勝負ということで焦るあまり、ちゃんと主剤と硬化剤が混ざらなかったために部分的にしかかたまらなかったのでしょう。
このトライで分かったのは、固まるまでには意外に時間的な余裕があること。
じっくり混ぜてから型に注ぎ込んでも遅くはなさそうです。
ちなみに、混ぜた材料は発熱します。
紙コップの上からでも触るとかなり熱くて、感覚的には熱湯くらいの温度はあるんじゃないでしょうか。
ということで作業される方はを気をつけ下さい。
セカンドトライは漏れは改善したものの、じっくり混ぜ過ぎました
いきなり結果写真ですが、これは何が起こっているかというと、じっくり混ぜすぎたために注ぎ込むときに硬化が始まってしまい、途中で完全に硬化して材料が全体に行き渡らなかったという状態です。
こんな状態を「ショートショット」なんて言ったりしますが、これはいくらなんでもショート過ぎますね。
でも漏れは無くなったので一歩前進です。
三度目の正直!とはならず。俺たちの戦いはこれからだ!
今度こそ絶妙な締め込みと攪拌でうまくいくはずでしたが、結果は下の写真の通り。
型が全然開けず、無理矢理開いたら型が壊れちゃいました。
上で偉そうに抜き勾配のことなんか書いたくせにこのザマです。
さらに言い訳すると、こうなることを恐れて事前に「離型剤」を型に吹き付けていました。
型に吹き付けて材料を流し込むことで、製品と型の離れを良くするものです。
ただ、これは普通は金型に使うものなので樹脂で作った型にどれだけ効果があるかは未知数でしたが、今回の結果では全く効きませんでした。
離型剤の名誉のために書いておくと、これだけ中の製品が型にガッチリ抱きついてしまったのは、恐らく型の表面が滑らかではなかったからだと思います。
よく樹脂製品の表面の質感を出すために「シボ」という凹凸を付けることがありますが、そのシボ付きの製品は金型との密着力が高くなるので、抜き勾配を大きめに付けたりするそうです。
3Dプリンタでプリントしたものの表面は仕上げないとシボのレベルより全然大きな凸凹が付いているので、密着力が強くなり過ぎて上の写真のような状態になってしまいました。
強がりを言わせて頂くと、ここまでは全て想定通り。
これらの対策用の品をAmazonで発注済みです。
というか、元々発注してたんですけど我慢できずに先に届いたものだけでトライしてみたら、案の定こんなんなっちゃったという状況です。
こんなこと言ったものの、対策品でもうまくいかない不安はかなり大きいですが、今後にご期待下さい。
今回はここまでです。