【機械設計の話】設計は「コミュ力」だ!!
設計者は関連部門との調整役でもあります。それは「設計する」ということの守備範囲が広いので、仕方ないことかもしれません
- この記事は機械工学を勉強している学生さんや、なんとなく設計という仕事に興味があるという人に向けて書いているつもりです。
- 自分が学生の時に気づけなかったことを中心に書いていきます。
- 勉強していることが仕事でどう使われるのかや、会社での仕事の実際を伝えたいと思います。
今回の記事はあえて誤解を招くようなタイトルにしてみました。
このタイトルの意図がうまく伝わるように説明できるか、ちょっと自信ないですが、書いていきます。
製品開発の流れ
前回の記事で、設計の仕事のイメージについて書きました。
「設計」の仕事は図面を書くことだけじゃなく、とても広範囲にわたるということを伝えたいです
この記事の最後で、「設計者にとって大事な能力はコミュ力!」と書きました。
この意図を伝えるには、製品開発の大きな流れを把握していただきたいので、簡単ですが下の図で説明ましす。
設計者がどの範囲を担当するかは会社ごとだったり、プロジェクトごとによって異なりますので、上の図は一例です。
(ちなみに私が最初に勤めた会社では設計者が設計と試験を両方やる会社でしたが、次の会社では設計と試験が別々でした)
一見すると、設計者の担当範囲はそれほど広くないように見えますが、とにかくいろんなところから矢印がつながってきています。
例えば、設計したものがちゃんと量産できるかを工場とすり合わせたり、市場や生産ラインで発生した不具合の対策を検討したり。
部品を製造してもらうサプライヤーも一社だけじゃなく何社もあって、それぞれと調整する必要があります。
また、同じ製品の開発をしている人たち同士でも、組織が大きければ大きいほど、不具合が起こったときの対策の影響度合いが大きいので、いろんな人たちと話をしないといけません。
これは結局、何かが起こったときは、製品の仕様を決めた(設計した)設計者のところに全て返ってくるということによるものです。
設計者に必要な「コミュ力」の意味
なぜ「コミュ力」について書こうと思ったかというと、私がコミュ力が無くて苦労したからです。
まず、自分が考えていることを全て相手に伝え切ることは難しい、ということを全然わかっていませんでした。
わかっていないから伝える努力をあまりせずに、「なんで理解してもらえないんだろう」とすねたりしました。
理解してもらえないから、上司からも宿題(仕事)をいっぱいもらったり、サプライヤーさんにお願いして出してもらったアウトプットが、自分が要求した(つもり)のものと違ったり。
要は、相手とコミュニケーションをとる力が不足していました。
この辺が解消されるまでにかなりの年月がかかったと思います。
上の図で説明したように、設計者はいろんな人とやりとりをしなきゃいけないのに、コミュニケーションがうまくとれないと、問題がどんどん大きく膨らんでいき、しなくていい苦労をすることにもなります。
また、もう一つの観点として、相手との交渉ごとがあると思います。
何か問題が起きたときに対策したり、製品を良くするために何か仕様を変更したい、というときがあります。
そのときに、関係部門がみんなハッピーなやり方だったら問題ありませんが、そうはならないことの方が多いです。
どこかに苦労をかけてしまう場合があります。
そのときに「こうするのが正しいんだから、つべこべ言わずにやれ!」なんて言ったら、うまくいくものもいかなくなります。相手の立場の方が強かったらなおさらです。
そんなやり方するやついないだろ、と思われるかもしれません。
私の偏見も少し入っているかもしれませんが、理系の人は理屈でものを考えるので、その「正しい理屈」どおりに物事が進まないのを嫌う傾向があるように感じます。
ですから、上の例は極端かもしれませんが、交渉というのをうまく進められないで、話がこじれちゃってしまうシーンをたまに見かけたりします。
長くなってしまいましたが、設計に必要な「コミュ力」についてまとめると
- 設計者はとにかくいろんな人と関わる機会が多い
- 自分の考えてることをうまく表現できないと仕事上の苦労が多い
- 仕様変更する場合などに関連部門と調整、交渉をする場面もある
当たり前といえば当たり前のことかもしれませんが、理系の人には(私も含めて)コミュ力が不足している場合が多いような気がするので、あえてこの記事を書きました。