【機械設計実践】コーヒー焙煎機のコンセプトを決める

製品の詳細をいきなり考え出すのではなくて、製品を使ってもらいたいターゲットを決めて、必要な機能を考えよう

  • この記事は機械工学を勉強している学生さんや、なんとなく設計という仕事に興味があるという人に向けて書いているつもりです。
  • 自分が学生の時に気づけなかったことを中心に書いていきます。
  • 勉強していることが仕事でどう使われるのかや、会社での仕事の実際を伝えたいと思います。

この記事は「コーヒー焙煎機」の設計を通して、製品設計の具体的な流れを疑似体験してもらうシリーズです。

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【機械設計実践】コーヒー焙煎機を設計する

これまでの記事で機械設計の仕事はどんな感じのもんかというのを大まかに書いてきました。その中で、機械設計の仕事で考えなきゃいけないことは広範囲にわたるということと、量産製品設計の流れはなんとなく伝えられたかなと思います。この先のもうちょっと細かい話は概念的なことを書いていっても伝わりにくいと思うので、具体的な製品を設計していく過程でそれぞれの考え方、位置付けを書いていきます。

https://poli-studio.com/2015/10/31/1716/(脱サラはじめました)

製品設計の一番最初はコンセプトを決める

以前書いた”設計は「コミュ力」だ!!」“という記事で、製品開発の大きな流れの図を載せました。
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今回の話はこの図の中でいうと「企画」にあたります。

流れの最上流に位置するコンセプト決めがしっかりしてないと、最終的に残念なものが出来上がります。

「この商品は何を狙ってるんだ?」と首を傾げたくなる、迷走感まる出しのものがたまにありますよね。

上流で方向性がブレると、そのブレは下流に行くほど大きくなっていき、あとで修正が難しくなる or ものすごく苦労するということになります。

このコンセプト決めの企業内での難しさは、コンセプトを決める部門と実際に設計する部門が必ずしも同じではないこと。

企画部門の人は技術的専門性が低いので、設計部門からするとムチャクチャな要求がくると感じる。

設計部門はお客さんと直接やり取りすることは少ないので、市場ニーズを分かってないと企画部門からは感じる。

この両者のバランスが、開発自体を左右します。

極端な例で言うと、Appleなんかは技術的にできることを組み合わせるのではなく、「世の中や市場を変えるにはこれが必要なんだから、つべこべ言わずにつくれ!」ってスタンスみたいですよね。(ジョブス氏亡き後はどうなってるかわかりませんが)

それがどの企業でもできるかというとそうではないので、どんなバランスをとってくかがその企業のカラーともいえるかもしれません。

コンセプトを決めるための根拠として、顧客の市場調査結果だとか売上分析だとかが、必要になってきます。(特に大きい会社は)

「俺はこんな製品がつくりたいんだ!!!(熱い思い)」だけでは一般的には通りません。

これは企業内の話なので、自分で起業すればもちろん好きなようにやれます。

とがったものをつくろうと思ったら、数字的根拠をつみあげてもしょうがないと個人的には思いますが。

少し話がそれましたが、コンセプトを決めるうえでは「ターゲット」をなるべく具体的に想定しましょう。

今回設計する「コーヒー焙煎機」のコンセプト

今回は私ひとりが好き勝手やれるので、これから出てくる数字に対する根拠の部分はやさしくスルーしてください。

ターゲット

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庭付き一戸建てに住んでて、副業をやりたいと思ってるコーヒー好きのサラリーマンや主婦
収入目標は月10万円

こんな感じに設定してみました。

なぜこんな設定にしたかというと

  • 個人向けのものは既にいろんな種類が出ている
  • ガチ業務用のものはここでやるには規模が大きすぎる

ということで、この2つの間を狙っていく作戦です。

本来であれば本当にこのニーズがあるかどうかを調べないといけないと思いますが、「ニーズが無い」という結論にしてしまうと話が進まないので、今回はガッツリ無視させてもらいます(笑)

目標売価

コストの話については”量産設計でコストの話は付きものだけど、学校ではほとんど教わらないかも“という記事で簡単に書かせてもらいました。

大事なのは、「いくらだったらお客さんが買ってくれるか」ということ。

製品をつくるコストを積み上げていって売価を決めるのではなく、買ってもらえる範囲内のコストで製造できるようにいろんな工夫をしていきます。

会社が商売として開発を進めるからには、お金の話は必ずついてきます。

ですからこの企画段階でコスト的な目標がある程度決まってないと、せっかく製品開発を進めても採算が合わなくてボツになったりという「ムダ」が生じてしまいます。(ちゃんと開発した技術が残れば必ずしもムダとは言えないと思いますが)

規模が小さくて資金的に余裕が無い企業だと、このムダが致命的になってしまうので、企画の段階で事業性の見通しを立てる必要があります。

とは言っても、これは実際には難しいんですけどね。

これも今回のコーヒー焙煎機設計の話としては中身を割愛させてもらいます。

企画の段階ではまだ具体的な構造は決めない

「いいアイディアを思いついたから、これで製品をつくろう!」とやりたくなりがちですが、製品を設計するというのは市場にニーズがあって、それを満たすために行います。

もうちょっと高尚に書くと「世の中の人の困りごとを解決して、豊かに暮らせるようにするため」です。

ですから、構造や採用技術ありきで設計していくと、市場に受け入れてもらえないものが出来上がってしまう可能性もあります。

ということで、先に決めないといけないのは構造よりも「要求機能」

細かいことはまた別で書く予定ですが、例えば今回の焙煎機の場合、上で決めたターゲットを踏まえると

  • なるべく簡単に扱えて、安定的に焙煎できる
  • メンテナンスも楽チン
  • 特別な機材が他に必要ない
  • 安ければ安い方が良い

ということが考えられて、これらの要求をだんだん細く具体的にしていって、製品仕様に反映するように検討していきます。

ここに書いたのはあくまで「キレイごと」

身も蓋もないことを言うようですが、よっぽどちゃんとした会社じゃないと上に書いたことを順にちゃんとはできてないと思います。

会社ごとにいろんな事情はあると思いますが、企業間の競争も激しくなっていてスピードも要求されるので、じっくり考えてやってられないということが大きいのではないでしょうか。

開発している間に周りの状況が変わってきたりとかもありますしね。

ただ、理想は理想として知っておかないと訳が分からなくなります。

この辺りのギャップ感というかドタバタ感を書くのは難しくて、結局は実際に経験してみないとわからないんですが、「開発はスムーズにうまく行くことの方がまれ」というくらいに頭に留めておいてください。