【機械設計実践】設計を始める前に、競合製品の情報を整理しよう

これから設計する製品はどこで勝負して、どんな仕様だったら既存の製品より優れているかをハッキリさせるために、彼我比較をして情報を整理しよう

  • この記事は機械工学を勉強している学生さんや、なんとなく設計という仕事に興味があるという人に向けて書いているつもりです。
  • 自分が学生の時に気づけなかったことを中心に書いていきます。
  • 勉強していることが仕事でどう使われるのかや、会社での仕事の実際を伝えたいと思います。

この記事は「コーヒー焙煎機」の設計を通して、製品設計の具体的な流れを疑似体験してもらうシリーズです。

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【機械設計実践】コーヒー焙煎機を設計する

これまでの記事で機械設計の仕事はどんな感じのもんかというのを大まかに書いてきました。その中で、機械設計の仕事で考えなきゃいけないことは広範囲にわたるということと、量産製品設計の流れはなんとなく伝えられたかなと思います。この先のもうちょっと細かい話は概念的なことを書いていっても伝わりにくいと思うので、具体的な製品を設計していく過程でそれぞれの考え方、位置付けを書いていきます。

https://poli-studio.com/2015/10/31/1716/(脱サラはじめました)

今回の話は、前回のコンセプト決めの話とも重なるんですが、製品のターゲットとするフィールドで、これから開発する製品が勝負できるかを確認する必要があります。

例えば、既に発売されている製品よりも性能も低いし、安くもできないようだとお客さんに買ってもらえません。

これから開発する製品は他の製品より優れている部分があるものにしないといけないので、既存の製品にどんなものがあるか調査します。

既に発売されている焙煎機の比較

まずはネットで検索して見つかった焙煎機をリストアップしました。

今回は「価格」と「一度に焙煎できる量」という観点で整理しています。(実際の仕事ではもっと多面的にパラメータをピックアップしていきます)

名称 価格(千円) 焙煎量(kg)
41n-rkXADUL サンプルロースター 50千円 0.2kg
cafepro101 CAFEPRO101 126千円 0.12kg
41oLsmGKhxL S-100CR 62千円 0.25kg
39176 Gene Cafe 85千円 0.25kg
37659 ディスカバリー 550千円 0.2kg
roast-7 UR-500 160千円 0.5kg
roast2 SLR-1 1100千円 1.0kg
sroa021 SLR-1 1250千円 1.0kg

こうして調べてみると、意外にたくさん種類があります。

さて、今回なぜ「一度に焙煎できる量」に着目したか。

今回定めたターゲットは「庭付き一戸建てに住んでて、副業をやりたいと思ってるコーヒー好きのサラリーマンや主婦。収入目標は月10万円」としました。

「月収10万円」を達成するためには、果たしてどれだけの量のコーヒー豆を1日に焙煎しないといけないか?

1ヶ月の稼働日を20日と仮に想定したとすると、1日に5千円の利益を上げないといけません。

例えば100gを500円で販売すると、生豆を100g当たり100円で仕入れて、ガス代、梱包代、設備償却、販促費用、廃棄ロス等で200円とすると利益は200円。

ということは、5千円の利益を出すためには1日当たり2.5kg焙煎しないといけません。

それを1回当たり200gしか焙煎できない焙煎機でやると、13回焙煎しないといけません。

そして1回当たり約20〜30分かかるので、それだけで1日終わってしまいます。

ですから、最低限1回に500g〜1kgは焙煎できるものが必要だろうと考えます。

ここでは仮定に仮定を積み重ねていますが、本当はもっとちゃんと調べて根拠をしっかりさせる必要があります。

スペックはどこを狙うか?

上で調べた情報をグラフ化して整理しました。

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こうして見てみると、1kgクラスのところから急に価格が上がっています。

これは「1kg以上焙煎したいやつはプロだろ」ということで、プロ用のいろんな機能が付いているために高くなっていると思われます。

プロ用のものは付帯工事が必要だったりするので、副業としてやるには大掛かりすぎますし、これだけの投資額を回収するのは副業では困難ではないでしょうか。

ということで、今回設計するものの狙いは

  • 個人向けのものの容量を拡大したもの
  • 容量が大きくなると「ムラ」が出やすくなると考えられるので工夫が必要
  • 個人向けのものよりも耐久性に優れること
  • 売り物としてのコーヒー豆を作るからには「安定性」と、ある程度の個性を出せるような「コントロール性」があること

これらを満たした上で、コスト競争力が出せる仕様のバランス点を見出していくのが今後の検討になります。

上のグラフのトレンドから考えると、売価で30万円は超えちゃいけないんじゃないかな?というイメージです。

余談ですが、焙煎機について調べていると今回狙っているようなあたりを実際に自作して、その焙煎機でコーヒー屋を営んでおられる方がチラホラいました。(自作のみで焙煎機の販売はしていませんでした)

ですから、方向性としてはそんなに間違ってないのかななんて思ってます。

次回は、要求性能の詳細を考えていきます。