最近トヨタのCMでやってる【TNGA】って何?
CMで突然【TNGA】って単語が出てきても「何のこっちゃ?」って人が多いと思うので、ものすごくザックリとイメージを書いてみました
なんか豪華俳優陣を投入してまでトヨタは【TNGA】という言葉を浸透させたいんでしょうか?
ドラマ風なので、これからシリーズ的に概要が徐々に出てくる設定なのかもしれませんが、「TNGAって何?」というのをちょっと書いてみます。
自動車業界で働いている人ならだいぶ前から聞いている言葉だと思います。
逆に言うと、自動車業界の人だけ知ってりゃいいような言葉な気もします。
ですからネットで検索すると情報が出てきますが、結構ゴチャゴチャ書いてあるので、ここではあえてザックリと書きます。
突っ込んだ話を知りたい方は他を当たってください(笑)
TNGAとは?
TNGAは「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー」の略です。
つまり、トヨタの新しいグローバルなアーキテクチャーです。
アホなことはさておき、アーキテクチャーをトヨタは「設計思想」だとしています。
「ニュー」についてはそのまんま、新しいプラットフォームを開発して性能を進化させましたよ、と捉えていいと思います。
そして「ニュー」は「グローバル」にもかかっていると思います。
この「グローバル」の部分こそがTNGAのキモになるかと思います。
トヨタのWEBサイトからこちらの図を引用させていただきます。(画像をクリックするとトヨタのWEBサイトへ)
この図の右下に書いてある「基本部分はいいものをつくり、賢く共用化」というのが最大のポイントじゃないでしょうか。
自動車開発は今や相当に複雑化しており、全世界で色んなカテゴリーの車種を展開しているトヨタともなれば、膨大な工数になります。
それをいちいち車が変わるたびに作り直すんじゃなくて、「共用化」できるものをなるべく増やして開発工数を削減しようということを狙っています。
また、共用化出来ればそれだけ一つの部品の生産数量が増えるので、コストが下げられます。
これらによって車一台分のコストを下げようとしています。
これだけではなく、共用化するということは一度ちゃんとしたものを開発してしまえば品質を安定させやすくなるというメリットもあります。
新しいものをつくるということは、どうしてもそこが不具合が起こりやすい原因になります。
ですからそれを回避するために、最初に頑張って品質が安定したものを開発し、それを共用化できる仕様にしておけば、不具合が出る確率が減るという狙いです。
逆に言うと、もし一つの車で不具合が発生してしまったら、他の車でも同様の不具合が発生する可能性が高いので、品質の部分では相当に気をつけて開発したんじゃないかと思います。
少し補足しておきますと、ここで言う「共用化」はただの「部品流用」とは次元が違うということです。
「アーキテクチャー=設計思想」としているように、設計の根本から共用化を織り込んでいます。
そのためにいろんなモジュールを標準化し、それを車種によって組み合わせていくことによって車の基本的な部分は出来上がって、あとは地域のニーズに合わせたり個性を出す部分を足したりという感じです。
この考え方はフォルクスワーゲンや日産、マツダなど各社でやられていますが、トヨタほどの規模の会社で今までのやり方を変えてこの方式を採用するのは相当大変だったんじゃないでしょうか。
だからこそ「こんなに苦労してまでやったんだからCMでもアピールさせてくれ〜」ってなったんでしょうか?(そんな安っぽい考えではないと思いますが)
ということで、TNGAのザックリ解説でした。