【マイクロモノづくりはじめよう】を読んでの安心と焦り

大企業じゃないと製品はつくれない、というのは過去の話。今は個人でもつくって発売することができる

と言われてから久しいです。

私が最近読んだ【マイクロモノづくりはじめよう 「やりたい!」をビジネスにする産業論(三木 康司/宇都宮 茂)】には小規模な中小企業もしくは個人でモノづくりをしたり、お金を集めたり、作ったモノの広め方だったりの概論が書かれています。

先にお断りしておきますと、この記事では本書の中身についてはあまり書きません。

私がこの本を手に取った経緯や読んで考えたことについて書いていきますので、中身を知りたい方はすいませんが他を当たって下さい。

この本を手に取った経緯

私が会社を辞めてから約9ヶ月が経ちました。

辞めた直後はこの先なにをやるか色々と考えましたが、その結果は会社でやっていた機械設計を生かしてサービスを提供する会社をつくることにしました。

色々考えている中で、自分はなんだかんだで何か新しいモノをつくるのが好きなんだろうなと感じたからです。

当初の「戦略」というと大げさですが、最初は機械設計の仕事を請け負って会社としてキャッシュを確保しながら、流れが安定してきたら徐々に自社製品をつくっていきたいと考えていました。

ラッキーなことに自分が思っているよりずっと早く会社が軌道に乗ってきたので、そろそろ本格的に自社製品をつくる動きを取るか、というのが現時点です。

自社製品とは言ってますが、要は自分が欲しいしつくりたい、つくれるんじゃないかと思っているものです。

私の場合は機械設計ができますので、設計や図面を書くのはもちろんできます。

そして色々お仕事を請け負っているうちに、製造をしてもらえそうなコネもちょっとずつ出来てきました。

私にとっての問題はモノをつくった先のことなんですよね。

具体的にはお金の調達やつくったモノの告知、実際の販売のやり方といったことです。

全くノーアイディアという訳ではありませんでしたが、何か参考になるものに少しでもすがりたいと思い、本を探していたところ【マイクロモノづくりはじめよう】という本が私のやりたいことに沿っていそうだったので購入しました。

この本を読んで自分の考えは間違っていなさそうで安心

この本を読んでみて驚いたのが、書かれている内容がほとんど自分の考えていたことと一致したことです。

例えば

  • 小規模でモノづくりするなら「マーケットイン」ではなく「プロダクトアウト
  • 大企業で大量生産のモノづくりをすることに対するジレンマ
  • クラウドファウンディング」活用して資金調達や商品PR

と言った点です。

「マーケットイン」はザックリ言うと市場のニーズに対応して製品やサービスを提供することです。

それの反対のものが「プロダクトアウト」になります。

プロダクトアウトと言うと自社が保有している技術や設備の都合でのモノづくりといったことを指すこともあるかもしれませんが、この本の中では「自分がつくりたいモノをつくる」という意味で使っています。

大きい組織でのモノづくりでは「マーケットイン」で進めていくことが多くなっていくと思います。

やはり大量生産ではちゃんと数が売れてくれないと儲けられませんので。

製品の企画段階では「市場調査の結果、こんなモノが求められているんですよ!」なんて資料がテンコ盛りで出てきたりします。

でもその結果で提案しているものはなんか中途半端で、それって結局のところ会社の都合に合わせたものになってるだけなんじゃない?ってことがちょくちょくあるんですよね。

それに対してマイクロモノづくりでは数は追わないので、自分のつくりたい「とがったモノ」をつくることで結果的には共感を得ることが出来るという考え方です。

当然、大量生産のような儲けは期待できませんが、大量生産では出来ないような面白いモノが作れるのが魅力で、私はまさにこういった方向性のものをやりたいと思っています。

上記のこととも関連しますが、2つめに書いた「大企業で大量生産のモノづくりをすることに対するジレンマ」についてもサラリーマン時代に痛感したことです。

大企業だと製品開発に関わる人数が膨大になってきます。

関わる人が多いほど関連部署との調整にかかるエネルギーも多くなります。

そしてその調整役はだいたいは設計者がやることになります。

私がサラリーマン時代にやっていた自動車開発はとにかく組織が大規模で、複雑なものを開発しているので仕方がない部分もあるのですが、それにしても調整や報告といった本質的なことから外れた部分に費やすエネルギーが多過ぎて嫌気がさした、というのも私が脱サラした理由のひとつだったりもします。

それに対して、自分一人でモノづくりをすればそういった余計なことに時間を取られず、製品に自分の意思をダイレクトに反映させられるので、これはきっと面白いですよね。

というのがあって、「自社製品開発」をやりたいと考えています。

3つ目の「クラウドファウンディング」については、もうだいぶ世間的にも認知されてきたと思いますので説明は割愛します。

概要を知りたい方は下のリンク先をご覧下さい。

クラウドファンディングとは -基本的な知識とメリットについての解説

資金調達するならクラウドファウンディングしか無いんじゃないかな、と考えていましたが、やはりこの本にもクラウドファウンディングを活用すべきと書かれていました。

もちろん色んな説明資料的なものを準備する手間はかかると思いますが、銀行とかでお金を借りるにしてもその手間はかかるので大差ないのではないかと。

それどころか、銀行とかでは会社のやり方とかに口出しされそうなので、そうなるとせっかく自分がやりたいようにやる環境を整えたつもりが、結局はそうならないということにも陥りかねないですよね。

とかとか、自分が考えていたことが間違っていなさそうなのでちょっと安心しました。

安心した反面、焦りや不安も・・・

不安は何かというと、この本が出たのは2013年なんですよね。

それからもう3年経ちました。

3年前の私はとある車の開発の真っ只中でヒーハー言ってた頃。

その間に外の世界はどんどん進んでいます。

今やクラウドファウンディングのサイトがいくつもあって、そこに載っている製品はどれも洗練されたものばかり。

片や自分はやっとこれから動き出そうかというところ。

この差は大きいですよね。

うろたえてもしょうがないですが、もう少し危機感を持ってこれから取り組んでいこうと思いました。

とにかく早く動こう、と感じられたことがこの本を読んだ一番の収穫かもしれません。