3Dプリンタでつくった型でシリコンゴム製品を成形してみました
ここまで2回にわたって「3Dプリンタで型を作って樹脂成形する」ということをやってきましたが、今回は3部作の最終回です。
ちなみに前の2つの記事はこちらをどうぞ。
突然ですが、3Dプリンタで「樹脂型」をつくってみることにしました。せっかく3Dプリンタがあるのになんで型を作るんだ?と思われるかもしれませんが、3Dプリンタは/同じものを何個も作りたいときに時間がかかる/使える材料が限定されていると言ったデメリットがあります。
前回は3Dプリンタでつくった型で樹脂部品を成形しようとしたけど、うまく分離できずに型が壊れてしまった、というところまで書きました。今回はその問題を解決するために、型の表面に処理を施して型離れが良くなるようにしようとトライした過程を書いていきます。
第2回目の記事の最後に、「真の目的はシリコンゴムを成形することである」と書きましたので、今回はそのトライ結果について書いていきます。
シリコンゴムは身近なところでも結構使われていて、馴染みがあるところだとスマホケースに使われているものがあったり、キッチン用品ではユニークなものもたくさんありますよね。
たとえば名前の通り「シリコンスチーマー」とか。
シリコンゴムの特徴は、
- 耐熱性がある
- 化学的に安定している
- 無臭である
ということが挙げられます。
そしてもちろんゴムなので柔軟性もあります。
このような特徴があるので、人体に触れるところや高温になるところで使われるキッチン用品にも適用されています。
そんな安定していて優れた特性をもったシリコンゴムがDIY的に普通のご家庭でも作れちゃいます。
ということで早速作業開始です。
シリコンゴムを成型するのは、混ぜて型に流し込むだけ
今回私が使ったのはこちらの商品です。
【型取り材】【食品用シリコン】 HTV-4000 1KG 硬さ:普通タイプ
これは「食品用」となっていますが、特に書いてないものは「工業用」になり、食品衛生法的に入っちゃまずい成分が含まれているらしいので、例えばお菓子の型とかを作りたい方はちゃんと「食品用」のものを選びましょう。
シリコンゴムなんか一般人がつくれるもんじゃないだろうなんて思ってたんですが、2種類の材料を1:1で混ぜて型に流し込んで、約6時間待てば固まって完成、と至って簡単に出来てしまいます。
ネットで検索してみるとどうやらこのシリコンゴムはプラモデルとか模型の部品を複製するための型として使われることが多いようです。
例えばこちらのページ(シリコンで複製をしよう)をご参考にどうぞ。
今回は型を3Dプリンタで作って、シリコンゴム自体を完成品として使うので逆の使い方ですね。
いずれにしても、硬化時間は結構かかりますが、作業自体はそれほど難しいものではありません。
シリコンゴムで作ってみたのは「メガネの曇り止め」
前置きが長くなりましたが、シリコンゴムで作ってみたのはこちらです。
写真右側が完成品、左側がその型です。
どうやって使うことを想定しているかというと、下の写真のようにマスクに取り付けてメガネの曇り防止できたら良いなと思って作りました。
作ったけど実はまだうまく機能してません。。。
でもいつまでも試行錯誤してたらこの記事が書けないので見切り発車です。(あくまで事例紹介と割り切って)
狙いとしては「快適ガードプロ」の置き換えです。
私は花粉症なのでシーズン中はマスクをしてますが、メガネっこでもあるのでメガネの曇りに悩まされます。
快適ガードプロはスポンジ状のもので顔とマスクの隙間をしっかり埋めてくれるのでメガネが曇ることもなく重宝してますが、毎日使うにはやはりちょっとお高い。
そこでそのスポンジ部分をシリコンゴムで置き換えられたら水で洗えるし、比較的耐久性があるので使い回せるかなと。
ってな感じで、シリコンゴムが使えるシーンはいろいろあると思うので、3Dプリンタを活用してチャチャッと作れると便利そうです。
シリコンゴムは柔らかいので型抜きも簡単
下の画像は今回作った方の断面です。
普通のプラスチックだと当然こんな型から製品を抜くことは出来ませんが、シリコンゴムなら柔らかいので強引に抜くことが出来ます。
前2回の記事はレジンを型に流し込んだので型と製品の分離に苦労しましたが、そういう意味ではシリコンゴムの方がお手軽感はだいぶ上です。
と言うわけで、3部作とした割りには締まらないですが、3Dプリンタでダイレクトに物を作るだけでなく、型を作ることで作れるものの幅が広がるかも、ということが伝われば幸いです。
おまけ:お菓子用のオリジナル型も作ってみました
ちょっと分かりづらいですが、オリジナルのロゴを入れたお菓子用の型も作りました。
こいつを使って手作りチョコを作ってみましたが、小さすぎたため文字と文字の間にうまくチョコが入っていかず、結果的には失敗でした。
でもチョコはおいしかったです。
なんか失敗ばかりの記事になってしまいましたが、失敗の数だけ成長できるということで。(ドヤァ)
それはともかく、3Dプリンタは無くてもシリコンゴムでは色々と遊べそうなので、お子さんがいらっしゃる方は夏休みの自由研究のネタにしてみるのも面白いのではないでしょうか。
2016.11.19追記
上の写真をご覧頂くと、シリコンゴムで成形した部品の中に気泡があるのが分かると思います。
この気泡を取り除く方法についての記事を書きました。