独立して機械設計をやるときに役立つ基本的な情報
脱サラしてから早1年が経ちました。
機械設計をするという点について一番強く感じたことは「会社には情報がたくさんあった」ということ。
そしてそれを当たり前として使っていて、いざその情報が手に入らなくなるとかなり困るということ。
具体的には
- それなりに大きな会社には「設計標準」がある
- 過去に量産してきた部品がたくさんあるので、それらを流用したり図面を参考にしたり出来る
私は世間的には大企業と言われるメーカー2社で働いた経験がありますが、そのどちらも自社の設計標準を持っていました。
JIS規格のようなものだったり「設計べからず集」のようなものだったり。
基本的にはそれに沿って設計したり図面を描いたりします。
また、量産図面も生きた情報の宝庫で、単純に形状を表しているだけでなく、製造方法がわかるようになっていたり、特定の製造方法でものをつくるには図面にどう書けば良いかも参考になります。(たまに過去の図面がイケてなくて失敗することもありますが)
当然ながら、それらの情報を会社を辞めるときに持ち出すわけにはいきません。(機密中の機密ですから)
そういったよりどころが無くなってしまった私がどうしたか、を書いておきます。
やっぱJIS!
基本中の基本ですが、まずはやはりJISを読むということに尽きます。
会社勤めのときのもとうぜんJISは読むんですが、その頻度は脱サラしてから格段に上がりました。
機械設計は会社毎に文化があって、お仕事頂くお客さんのところのやり方に慣れるのに最初は苦労します。
それでもJISは唯一の共通言語とも言えるものですから、JISに沿って設計・製図を進めていれば大きなズレは起こりません。
未だによく困るのですが、今まで会社の中でやってきたことが世間的にも通じるのかどうか?ということ。
その会社特有のルールだったり用語はたくさんあるので、それを確認するためにもJISはよく見ます。
ただ、いちいちJISのページに行って検索するのも大変ですし、JISを冊子で揃えるなんてのはもっと大変なので、普段は1冊にまとまった便覧を使っています。
JISにもとづく機械設計製図便覧
また、JISには材料のサイズについても決められているので、これもよく見ますね。
例えばパイプ材のサイズだったり、板材の厚さのラインナップだったり。
自動車部品のようなものを設計しているとあまり材料のサイズは意識しません。
規格で決まっている材料を削り出したりするよりは、専用の型をつくることがほとんどなので。
しかし、今のところやることが多い仕事は設備や装置といった一品ものなので、そういったものをつくるときにはお客さんが材料サイズを結構意識されているのを感じます。
というかそれが普通なんでしょうけど、私があまりそういう意識を持って設計をしたことが無かったので。
そんなわけで、JISには情報盛りだくさんなので、学生さんとか新人さんは特に読み込むことをお薦めします(私のようになる前に。。。)
とは言っても実務経験が無いとなかなか飲み込めないと思うので、「こんなことが書いてあるんだ」程度でも構わないと思います。
「ミスミ」は機械要素部品界のAmazon
自社で量産部品を持っていないと、ちょっとした部品でもいちいち図面を書いてつくらないといけなくなります。
でもそれって相当わずらわしいです。
そこで役立つのが「ミスミ」という、膨大な量の機械要素部品を扱っているところです。
とにかく幅広く扱っていて、私も最初は「こんなものまであるんだ」ということに驚きまくってました。
大きな企業で仕事をしているとどうしても仕事の範囲が狭くなるのですが、そんな私にとっては新鮮な世界が広がっています。
扱われているものは、ねじ、バネ、歯車、ベアリングといったものから、電気関係の部品や消耗品などとにかくたくさんあるので、是非一度WEBサイトを見てみて下さい。
また、簡単なシャフトや板ものだったら好きな寸法を指定してつくってもらえたりもします。
ちなみにこちらの記事で書いた牛乳パックカッターもほとんどミスミで部品を調達しました。
ミスミの良いところは品揃えだけではなく、部品のCADデータがダウンロード出来るので、設計でレイアウトするときに作図や3Dモデリングの手間が省けるのが嬉しいところです。
と、こんな感じで基本的な情報についてはだいぶどうにかなってきました。
最初はJISにしてもミスミにしてもどこにどんな情報があるか探すのに時間がかかっていましたが、今はだいぶ慣れてきました。
今までいかに自分の見識が狭かったかを思い知らされると同時に、新しいことをガンガン吸収できているのを楽しんでもいます。